洗脳目的の新聞社説 2011.12.13
私の手元に読売新聞朝刊があり、私は社説を見ている。そこには
「財政再建は先送りできない」
と大きく書かれた社説がある。同様な社説を毎日新聞も今日、掲載した。
(リンク切れ) (リンク切れ)
毎日紙面では「一体改革は必要だ -政治の真価が問われる」と書いている。朝日は違う社説を掲載している。何故なら朝日は一日、早く掲載したからだ。
http://www.asahi.com/paper/editorial20111211.html
「税制改正 - この先が思いやられる」
つまり日本の全国紙が全て「同じ日付で同じ主旨の社説」を掲載した。すでに指摘したように、こうした社説の均質化は極めて危険だ。一回、転回すれば「腰抜け、勝てる戦を何故、始めぬ」という戦前の紙面に戻るからだ。
本来であれば朝日や毎日の社説もふくめて議論をするべきなのだが、取りあえず手元にある読売新聞社説を見てみる。
引用
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111212-OYT1T01058.htm
消費税引き上げ 財政再建は先送りできない (12月13日付・読売社説)
財政再建は待ったなしである。消費税率引き上げの実現へ、政府・与党の覚悟が問われよう。
社会保障と税の一体改革に伴う消費税の論議が本格化してきた。
政府は年内をめどに一体改革の素案をまとめる。年明けに与野党協議を経て大綱を決定し、来年3月までに消費税率引き上げの関連法案を国会に提出する方針だ。
しかし、民主党内では、反対論がくすぶり、前途は多難である。意見集約が遅れ、素案づくりが越年する事態になれば、論議の先行きが一段と不透明になろう。
野田首相は「私が先頭に立つ。不退転の決意で臨む」と言明している。有言実行だ。まず、党内をまとめねばならない。
政府・与党は6月、消費税率を2010年代半ばまでに段階的に10%に引き上げると決めた。
◆社会保障は危機的だ
国民皆保険・皆年金が確立してから50年が経過した。少子高齢化の進展に伴って、給付が膨らみ、社会保障制度は今、危機的な状況に陥っている。政府・与党の方針は当然と言える。
◆自民党も逃げるな
野党も責任ある対応が求められる。中でも「消費税率10%」を昨年の参院選で公約した自民党は、消費税論議を傍観せず、与野党協議に速やかに応じるべきだ。
財政再建や消費税率引き上げはどんな政権でも先送りできない課題だ。与野党双方がこの場から逃げれば、政治の機能不全を世界に一層さらけ出す。
欧州財政危機では、放漫財政のギリシャの信認が低下した。これを「他山の石」として、厳しい現実を直視し、必要な負担を国民に求めることこそが政治の責務だ。国の針路を誤ってはならない。
(2011年12月13日01時37分 読売新聞)
引用終わり
(過度の引用をさけるために中間部分を略している。原文を参照していただきたい)
この読売社説には論理が無い。例えば「財政再建は待ったなしである。消費税率引き上げの実現へ、政府・与党の覚悟が問われよう」というが何故、待ったなしなのか理由が全く出されていない。長期金利は1%を割ったままで長期国債先物は歴史的な水準で買われている。つまり市場データは財政再建の緊急性を明確に否 定している。
(2012.06.01日時点での長期金利は0.81%だった。つまり安全資産としての日本国債が暴騰している)
この読売社説には人口ピラミッドが出てくる。それは明らかに歪んでいる。これは事実だ。ところで、この人口ピラミッド・グラフには何ら作成時点が書かれてない。ということは時間的に都合悪い部分があるのだろう。そこで調べてみた。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei10/index.html
現時点での最新の人口動態統計は2010年の分である。民主党が衆議院選挙で大勝をして与党になったのは2009年8月30日以降だ。実質的に2010年だ。そして民主党は選挙公約として「消費税は議論すらしない、何故なら埋蔵金があるからだ」と主張した。
2009年から2010年にかけて人口ピラミッドが大きく変わる要素があったかと言えば何もない。つまり、ここには矛盾がある。
1.民主党が選挙公約を守る気があるなら、消費税は議論をする必要すらない
2.人口ピラミッドが歪んでいることは2009年8月衆議院選挙の時点でも衆知されていた
3.従って、民主党は選挙で勝つために意図的に国民を欺した
4.読売新聞は自民党には選挙公約を守れと主張している
引用
野党も責任ある対応が求められる。中でも「消費税率10%」を昨年の参院選で公約した自民党は、消費税論議を傍観せず、与野党協議に速やかに応じるべきだ。
引用終わり
5.だが野田民主党内閣が2009年の選挙で掲げた選挙公約を守らないことは無問題としている
6.読売新聞論説委員は論理が理解できないか、買収されているかのどちらかだ
さらに不可解なことに読売新聞社説はインフレをおこすことで政府債務GDP比率を減らすことを無視している。読売新聞が主張する財政再建なるものは政府債務対名目GDP比率の改善だ。従って適度なインフレをおこすことで問題を解決できる。
要するに「誰かさんの大きなシナリオ」にそって読売新聞の社説は書かれており、そこには何ら論理が無い。
論理が無い社説が無視されるのは当然だろう。
で、自分は思うのだがすべての新聞の社説が同じときこそ国民は気をつけるべきだろう。
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