日本の財政危機はこうして始まった

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日本経済新聞の私の履歴書で安斎隆というひとの文章を初めて読んだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/安斎隆

この人は日銀に勤めており日銀時代の体験が中心となっている。この文章の中に以下のような記述があった。

「日銀内部でドルに取って代わる日本円という議論がおきたことがあった。上司が米国の強みは法的な面にあり、そう簡単には行かないと諭した」

この時の文章は日本経済新聞社から書籍として刊行されている。


https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/35824

日本で財政危機が言われたのは2005年頃である。この頃、日本の政府債務(国債発行残高)のGDP比が200%を超えた。当時、アメリカは100%にも行ってなかった。大事件と騒がれた。

https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/102.html

上のサイトから引用した下のグラフを見ていただくと何故、日本の財政危機が叫ばれたのか理解できると思う。

ところで米国通貨ドルが基軸通貨であり世界がその通貨中心に回ってるとしてアメリカは経常収支赤字国であり日本は黒字国だ。下のウイキペディアから引用した図を見て頂きたい。

安斎氏の主張に戻るのだが、もし本当に日本円が米国ドルに代わりうる対象として日銀内部で見なされたなら当然ながら日本の政府債務のGDP比はアメリカより遥かに高くなりうる。自分は日本の政府債務つまり国債発行残高が大きいことは否定しないが実は日本円の「特殊事情」によりGDP200%は問題ではないと考える。財務省や多くのメディアはアメリカとの比較で「日本の債務は過剰だ」と考えた。しかし本当に民間が引き受けられないほど過剰になってれば当然ながら国債が売られ利回りが上昇する。要するに長期金利が上がる。日本の長期金利がもっとも上がったのは2011年あたりの地震と復興のための予算獲得のための国債発行が行われた時だが、それでも1.8%である。

1.8%のインフレをもってハイパーインフレという指摘は全くあたらない。2012年に安倍晋三氏が総理になりアベノミクスを開始した。これにより短期金利はマイナスになった。長期金利も0.1%かそれ以下になった。

日本という国は依然として経常収支黒字だ。つまりGDP比200%の政府債務は全く問題ないのだ。何故、問題ないと考えるかというと長期金利の低さだ。民間は「もっと国債を発行してくれ!」と要求してるのだ。

日本の財政危機はある種の誤解から始まった。それは自国通貨の無理解が原因だ。経常収支黒字ということは国の存続が十分に可能ということであり0.1%の長期金利は「日本はもっと国債を発行してくれ」という市場の要望だ。

つまり日本の財政危機は誤解の産物であり、そんなものは存在しなかった。

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